STANDARD TRADEのソファORS-01A-3P |
「中庭のある家」がまだ設計段階だったころ、平面図にもとづいて模型を自作し、床や壁や家具にアクリル絵具で色を塗り、デジカメでギリギリまで寄って撮影して、間取りや立面を考える参考にした。その際、部屋の雰囲気を見てみたくてミニチュア家具を作ったのだが、そのモデルとなったのがSTANDARD TRADE. CO., LTDのソファORS-01A-3P。
「中庭のある家」にソファを置くなら、当然このソファでなくちゃとずっと思っていた。店舗にも何度か足を運び、気の済むまで座り心地を確かめた…が、どうもしっくりしないんだな、これが。
素材もデザインも素晴らしい。ふかふか、ぶよぶよしたソファと比べて、この直線の美しさはどうだ。ぎりぎりまで絞りこまれたフレームの端正さ…どこにも欠点はないのだが、「中庭のある家」の吹き抜けの下に置いて、そこに座ってただなんとなく時間を過ごすということを思い描いてみると、いろいろ不都合が出てくる。まず、ローソファほどではないが、座面がやや低い。座面に傾斜がかかっており、その分奥行きが浅い(妻にはちょうどよかったらしいのだが、私には浅すぎた)。さらに、背面が低く、どっかりと背を預けるというよりは、ある程度しっかりした姿勢を保持したまま座るようになっている。
ならば、もっとゆったりと腰掛けることのできるORS-02B-3Pならきっと満足できるだろうと、こちらに座ってみた。が、「これだ!」と言えるほどの確信が湧いてこない。
あれほど気に入っていたソファだったが、どうやら見た目の美しさに幻惑されて、自分たちがそれを実際にどう使うことになるかまで思いが及ばなかったようだ。
美しいソファは、それ自体が美しい座り方を要求しているような気がする。また、美しいソファは、所有欲を刺激するが、使用欲は刺激しない。つまり、思わずそこに座ってゴロゴロしてみたくなるオーラを発してはいない。自分たちのだらしなさ、行儀の悪さを告白するようで情けないのだが、「食べて横になって牛になって何が悪い?」というのが正直なところ(^_^;
というわけで、ソファを求める旅はさらに続くのであった…