「海上エコツアー」に参加して |
田中工務店の田中社長に誘われて、「あたり前の家」ネットワーク+寺子屋吉水Presents 「ちょっと前の日本の暮らし塾」の「海上エコツアー」に参加してきた。
好天に恵まれ、海も穏やか、絶好のクルーズ日和だった。貝殻が堆積してできた「貝殻島」に立ち寄って潮干狩りをしたりヤドカリを追っかけたりしたあと、程なく正午。吉水の女将 中川さんの無農薬の野菜を使ったお弁当を食べて、東京湾クルーズに出発する。
三番瀬や東京湾にお詳しい漁師の大野さんから、浅瀬の重要性、海と陸との相互依存、その土地固有のものを使うことの大切さなどを聞いた。午後2時半ごろには帰港し、解散。暑かったが船上の風は心地よく、とても楽しかった。
楽しかったで済ますのもアレなので(笑)、今回のイベントの意義について考えてみた。三番瀬の植物や動物が家を建てることとどう関係するのかはなかなか想像するのが難しいが、たとえば地の魚を積極的に食べるといった身近な例を思い浮かべることからはじめればよさそうだ。
わざわざ外国から輸入しなくても、美味しい魚は近くにあり、それを採って暮らしている漁師さんがいる。私たちが魚を食べるときにあえて地魚を選ぶことによって、私たちには新鮮で美味しい魚が、漁師さんには生活の手立てがあたえられる。私たちがそうするだけで、私たちは漁師さんを喜ばせることができ、漁師さんは環境に配慮した漁で海を大切に育て、安全に配慮した保存方法で私たちの健康を気遣ってくれる。
家を建てるときも同じだ。たしかに、家を新たに建てること自体は非常に環境負荷の高いことだが、できるだけ近くの山の木を使い、長持ちする家をつくり、家を末永く使うことで、環境負荷を減らすことができる。私たちがあえて国産の木を選ぶことで、林業に携わる人たちを助けることができ、彼らに山を保全する気持ちをもってもらうことができる。それは同時に私たちの環境を美しく保ち、健康を維持する助けとなる。
そんなふうに視野が広がっていけば、単なる流行としての健康志向やエコロジーとは異なる、確固としたライフスタイルを持つことができそうだ。それは、家づくりにかかわるだけではなく、生きること、暮らすこと全体に結びつき、その人のあらゆる行動を規定する。そんな人であれば、国産材にこだわりながら、合成洗剤を使いまくるような矛盾したことをすることもないだろう。工務店で家を建てながら、食事はスーパーのお惣菜コーナーで済ますようなこともないだろう。